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太鼓の上手(じょうず)・下手(へた)は最終的に練習量だけではない。バチの握り方、そして体(正座状態)で上手くバランスを取りながら作り、ためた力を、バチを握った指で上手くコントロールしながら、山、谷の音を出す。
ほとんどの人が『音を大きく強く叩く時はバチを大きく上げる、小さく叩く時は小さく上げる』
しかし、この当たり前の考え方が良い音を作ることのできない一番の行い、そして考え方であると思う。とにかく指。強く叩くも弱く叩くも、指である! 一言で指といっても、その絶妙な感覚を身に付けるまでにかなりの時間と忍耐を要すると思う。
人に見せる、見られる、喜ばれると言うことは簡単なことではない! そして見ている人を馬鹿にするような技術は見せられないと言う気持ちを持つ! その気持ちを持つことが本当に人の心を打つ。
それが太鼓を叩く、囃すものがいつも心に思ってなくてはいけないことだと思う。
よく、CDを買って研究したい、演奏しているところをビデオで撮らせてほしい、という方々から、ここまでされると真似されるのではないかと嫌ではありませんか、と聞かれる。ただ、その心配はまったくない。お囃子経験35年の集大成(まだ途中ではあるが)でここまでの考え方、技術があるから、どんなにビデオを撮られて文句を真似されても、同じように叩けるものはいないという自信がある。真似は真似でしかない、気持ちがともなわない上っ面だけの真似では、私と同じように、さらにそれ以上にお囃子をできるものはいないだろう。
これを読んで、過信ではないかと思う人もいるかもしれない。でも、私達は全関東と東日本のコンクールのどちらでも優勝をとり、さらに東京都祭ばやしコンクールでは、第1回から最優秀賞をとり続けてきた。その賞歴に誇りをもち、いまの自信をつけてきた。
現在、貫井囃子保存会の会長として、この自分の技術を惜しみなくメンバー達に教えている。それはお囃子は一人でやるものではないからだ。私一人が最高の技術をもっていても、同じ考えの笛、メンバーがいなければ良いお囃子はできない。自分だけではなく、会自体がトップでいるには技術、気持ちどちらも私が教え、育てなければならない。全員が気持ちをともなった技術をもってもらいたいと思っている。
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